芝居の稽古が熱を帯び、初日が近付く。まもなく幕が開こうという時、俳優は燃える。加藤健一事務所が下北沢の本多劇場で幕を開けているコメディ「バッファローの月」でおばあさん役を演じているさとうこうじ。ユニークな俳優だ。僕と同世代だが、芝居がやりたくって早稲田に入り、劇団「こだま」に所属。同時期に同じキャンパスを歩いていたことになる。卒業後は劇団に所属せずにフリーで俳優活動を続け、いろいろな舞台でその個性を見せている。以前、やはり加藤健一事務所の作品でおじいさんを演じたことがあり、この役のオファーがあった時は「今度はばあさんも来たか」と思ったそうだ。どんな役でも幅広く演じたいと言うだけあって、小学生の女の子も演じている。その小柄な体つきが、思わぬ形で舞台に活きているのだ。「いつか『シラノ・ド・ベルジュラック』を演じたい」と言う彼。小さな身体に熱き炎が宿っている。