「最近の若者の言葉の乱れは…」などという話は、聞き飽きた向きも多いことと思う。私も飽きたし、大概のことは「時代の流れ」と諦めて、看過することにしている。しかし、最近、どうしても見過ごせないことがあった。
公共放送であるNHKテレビの番組で、若い女性のアナウンサーが女優をゲストに迎えてインタビューをしていた時のこと。「○○さんはなにげに…」という言葉を使った。本人は、無意識のうちにそれこそ「なにげに」使ったのだろうが、民放のバラエティなら百歩譲って知らぬ顔をするが、NHKのアナウンサーが使うべき言葉だろうか。「なにげに」などという、聴いただけでも汚らしい言葉を平然と使っているアナウンサーの感覚には唖然とした。
日本は小さな国ながら個性豊かなお国訛りがある。今話されている標準語がすべて正しいと言うつもりもないし思いたくもないが、「言葉」を疎かにしてはいけない。日本語には美しい言葉がたくさんある。人間の豊かな五感をさらに豊かにするほどに。日本の芝居の科白の美しさ。翻訳劇にしても訳者のこだわりがある。単なる懐古主義で言うのではない。「母国語を大切にしよう。何のために? 自分のために。」