観客席から〜第13話〜



第13話「カーテンコール」

 舞台の幕が降りた後、観客の熱狂的な拍手が鳴り止まず、再び幕が開き、出演者が登場して挨拶をする。こうした「カーテンコール」が、規定のものとして最初から考えられるようになったのはいつ頃からだろうか。今は、ほとんどの芝居に漏れなくカーテンコールがついている。ほとんど儀式のように。

 しかし、カーテンコールを嫌う役者もいる。劇の中で一度死んだのに、その役がニコニコと頭を下げるわけにはいかない、と言う。その言い分はもっともだと思う。潔ささえ感じる。別に、カーテンコールが悪いと言うつもりはない。観客がやむにやまれぬ感動を押さえきれず、再び幕を開けさせるのであれば、それは素晴らしいことだと思う。そういう舞台は実際に何度も目にして来た。役者と観客が一体になり、心の動きを抑えることができないような舞台。しかし、今のように、観客の思惑はともかくも、無理矢理にカーテンコールが組み込まれている習慣というのはいかがなものだろうか。

 能は、感動の余韻に浸るために、演能が終わっても拍手はしない。静かに感動の余韻を噛み締めている。そして、観客がおもむろに席を立つ。その姿は両極端とも言える。

 どちらにも言い分はあろう。しかし、押し付けのカーテンコールはどうにもいただけない。

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