24日に下北沢の本多劇場で幕を開ける「詩人の恋」の稽古が終わった後、下北沢で畠中洋さんと酌み交わした。端正な面立ちの下に、芝居に対する熱いマグマが轟々言っているような人だ。
「今回の二人芝居って、『ガチンコ』みたいなものじゃないですか。その中で加藤健一さんと、どうささえあっていくか、ですね」プライド高き天才ピアニストの役を演じる彼は、音楽座の出身である。
「でも、僕は譜面が読めないんですよ(笑)。今回もずいぶん唄うんですけど」
そう語る彼の声は甘い。「詩人の恋」という芝居は音楽をちりばめた二人芝居で、実際に唄うが、「ミュージカル」とは違う。
「二人の人物がそれぞれ持っていた殻を破る、っていうのがこの芝居のテーマの一つなんですが、稽古をしていると、役がだんだん自分の細胞に染みこんで来るのがわかるんですよ。加藤さんと二人揃えばすぐ稽古できちゃうし」
畠中さんは僕よりも酒が強いようだ。いささか酔っ払って、眠りに落ちる直前に、彼が囁いたような気がした。
「心がほっこりする芝居、ですよ」と。