観客席から〜第19話〜



第19話「リリー・マルレーン」

 ふと「リリー・マルレーン」という唄のことを思い出した。第二次世界大戦中に流行った曲だから相当に古い。ララ・アンデルセンという歌手が唄って、映画で公開されているかの大女優マレーネ・ディートリッヒがこの唄に伝説を作った。第二次大戦中、敵も味方もラジオの慰問番組からこの唄が流れる時間になると戦闘をやめて、彼女の歌声に耳を傾けたという。昔のラジオドラマ「君の名は」にも似たエピソードである。

 原曲はドイツ語だが、あちこちの国の言葉に翻訳されて、愛された曲だ。もちろん、日本でも何種類かの訳詞があり、加藤登紀子、伊藤ゆかり、ピーターが唄っているのを聞いたことがある。昭和58年2月には伊藤ゆかりとピーター、中山仁、芦田伸介などの顔合わせで「リリー・マルレーン」という芝居になった。「シアター・アプル」がまだできて間もない頃だったように思う。あれきり再演されないようだが、そう悪い芝居ではなかったように想う。

 芝居と流行歌というのは、実は関係が深い。そう言えば、春日八郎の「お富さん」というのがあったっけ。宴会部長がよく唄っていた。あの人ならばさしずめ役は蝙蝠安だろう。

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