戦国武将のような名前である。しかし、外見はスレンダーな25歳の普通の二枚目の青年だ。ご父君は同じ俳優の大先輩・加藤健一さん。3月に下北沢の本多劇場で幕を開ける「煙が目にしみる」で約10年ぶりに親子共演を控えている。
22歳までは作詞・作曲・演奏と音楽をやっていたと言う。しかし、才能の限界を感じて俳優に転向。父の背中を見ていた影響があったのだろうか。俳優としてのキャリアは浅いが「楽しい」と語る。「稽古をしていても、演出家の意図がわかりますし、それが自分でもできるから」。意外に自信家でもある側面を覗かせるが、実際は非常にナイーブな感じである。と同時に、非常に感性の鋭い青年でもある。いくつかの舞台の感想が話題に出たが、経験は少ないのに言うことがぴたりと的を得ている。役者の血、だろうか。
今度の舞台では「カッコよく見せたいです」という。もちろん、容姿の話ではない。「どんなに不細工な役でも、その芝居を逸脱しないカッコよさがある」はずだ、と彼は言う。それを追求するのが当面の課題のようだ。自分がミュージシャンとしての経験を積んで来たからだろうか、「芝居も音楽も、エンタテインメントであることに変わりはないので、あんまり「芸術的」な部分を前面に押し出したものは好きではないです」とも。そういう意味では、今の若い観客の代表、とも言える部分を併せ持っているのかもしれない。
はっきり言って役者としての才能は未知数である。今度の舞台でそれが問われることになる。しかし、彼は変に気負うわけでも、親子共演の話題に振り回されるわけでもなく、淡々と自分で考え、自分のするべきことを考えている。そういう意味では大人だ。さて、舞台でも「大人の芝居」を見せてくれることを期待しよう。